調剤薬局の経営の失敗で借金5800万円。融資を受けた開業資金だけを特定調停した体験談

諏訪部明仁Aruさん(41歳 会社員 男性 東京都)からいただいた債務整理体験談です。

薬剤師の資格を持つ諏訪部明仁Aruさんは、開業資金1500万円を借りて自分の調剤薬局を開業します。

順調な滑り出しでしたが、近くの病院が移転してしまい客が激減。

再建をはかりますが、廃業することとになり、住宅ローン等も合わせて5800万円もの借金だけが残ってしまいます。

みんなの債務整理体験談メモ

お名前:諏訪部明仁Aruさん(仮名)
性別:男性(41歳)
職業:会社員
地域:東京都
債務整理方法:特定調停
借金の原因:調剤薬局の経営の失敗
債務整理時の借金総額:5800万円


調剤薬局の経営の失敗で借金5800万円

私は41歳の男性薬剤師です。

大学の薬学部を卒業したあと、長年、大手調剤薬局で勤務していましたが、次第に独立したいという気持ちを持つようになりました。

そして2011年に、私が住んでいるエリアにおいては地域中核病院という位置づけの病院から徒歩10分の場所に、自分の調剤薬局を開設しました。

35年の住宅ローンと開業資金という名の借金

そのときはすでに結婚しており、子供も一人いました。

35年返済の住宅ローンを借りて、新築分譲マンションも買っていました。

ですから、自分の調剤薬局を持ちたいと妻に話したときは、かなり反対されたのですが、最後には容認してくれました。

そして、調剤薬局を開設するために、日本政策金融公庫から開業資金として1500万円を借金しました。

開業は順調な滑り出し

病院の正面や、病院から徒歩3分圏内といういわゆる一等地には、すでに古株の調剤薬局や大手調剤薬局チェーンが店を出していましたので、私は駅と病院の中間地点に位置する場所に調剤薬局をオープンさせました。

オープン当初はチラシを近所にまいたり、病院前や駅前でチラシを配って宣伝に努めたところ、病院の患者さんが立ち寄ってくれて、順調な滑り出しをすることができました。

頼りにしていた病院の移転

ところが、調剤薬局を開設して翌年の2012年になると、病院が移転するという話が市議会や県議会で議題となりました。

そして、病院の移転が市議会で決議され、2013年に入ると市が所有している土地で建設工事が始まり、2015年の春に病院は移転してしまいました。

それと同時に、病院前の一等地に陣取っていた調剤薬局は、移転した場所の近くに新たな店舗をオープンさせ移っていきました。

客が激減…経営の不安

しかし、私には移転するだけのお金を工面することができませんでした。

それ以降、私の調剤薬局経営が暗転していきました。

病院が移転してしまったのですから、患者さんは激減です。

10分の1以下に減ってしまい、売上も同様に10分の1以下になってしまいました。

資金繰りのための借金と廃業

病院が移転したあとも、当初は地元の住民を顧客として取り込めばなんとか経営を存続できるのではないかと考えてしまい、とりあえず当面の資金繰りを乗り切ろうと考え、銀行のカードローンから100万円を借りてしまいました。

しかし、顧客の数を取り戻すことはできないまま、ずるずると6か月が経過してしまい同じ状況が続くと自宅の住宅ローンさえ返済できなくなる恐れがでてきました。

自宅マンションを手放すことになったら、もうお終いです。

そこで、2015年の11月に調剤薬局の廃業を決意しました。

廃業からの債務整理

廃業を決意すると同時に、住宅ローンとは別に借金が1300万円残っていましたので、債務整理をしなければいけないと考えました。

廃業した時点で、日本政策金融公庫から借金残高が1200万円、みずほ銀行から100万円、そして住宅ローンとして4500万円の残高が残っていました。

多重債務の状態です。

調剤薬局の経営失敗で借金5800万円
調剤薬局の経営失敗で借金5800万円

多額の借金の反省点

薬剤師の資格を持っていますので、年収500万円程度のサラリーマンには復帰できる自信はありました。

しかし、住宅ローンと合算すると借金額は5800万円に達してしまうので、とても完済は無理だと思ったのです。

いま振り返れば、病院が移転した時点で銀行のカードローンを利用するようなことはせずに、すみやかに廃業を決断すべきだったのだと思います。

カードローンの100万円は、余計な借金だったと思いますし、調剤薬局経営への未練があったのだと思います。

カードローンを利用して、問題先送りをしたことについては反省点だったと思っています。

転職活動と東京弁護士会への相談

そして私は廃業してから2か月後に、東京弁護士会の法律相談に電話をし、面会の予約をして、債務整理の相談に行きました。

そして、自分が調剤薬局の廃業に至った経緯や、現在の借金の状況などを説明し、なんとか自宅マンションだけは手放したくないことを話ました。

また、すでに人材紹介エージェントに登録し、大手調剤薬局から内定通知をいただいたことも話しました。

すると、港区新橋にオフィスを構えている白川勝彦法律事務所が債務整理を専門としているということで、すぐに紹介していただけました。

自分では、どの法律事務所に債務整理手続きを相談したらよいのかわかりませんでしたので、東京弁護士会に相談するのが一番だと思ったのですが、やはりそのように行動して正解だと思いました。

特定調停での債務整理の提案

白川勝彦先生は、自治大臣を務めたこともある元政治家の弁護士で、オフィスの応接室にとおされたときは重厚なテーブルと椅子があり、まわりは法律関係の本ばかりで大変緊張しましたが、先生は丁寧に私の話を聞いてくださいました。

そして、先生からはすでに就職先が決まっているのであれば、住宅ローンの返済は問題ないだろうと言われ、日本政策金融公庫の借金について債務整理してはどうかと提案されました。

そして、任意整理の手続きは交渉に時間がかかるので、裁判所に特定調停の申し立てをしてはどうかと提案を受けました。

特定調停であれば、特定の債権者とのみ債務整理の交渉が可能とのことでした。

債権者との合意で借金を減額

それからは白川先生のお話通りに、裁判所に特定調停の申し立てを行い、3か月後には債権者と借金の減額について合意することができました。

裁判所は初めは緊張しますが、慣れてくると普通の事務所と同じような印象を持ちました。

このようにして債務整理に成功し、日本政策金融公庫からの借金残高については1200万円から250万円に減額してもらうことができ、返済期間は5年間で、毎月の返済額は約4万円にしてもらうことができました。

調剤薬局への就職が決まっていましたので、給料の範囲内で返済可能な金額に設定してもらえたのです。


諏訪部明仁Aruさんの借金内訳と債務整理後の状況

諏訪部明仁Aruさんの借金の内訳と債務整理を行ったことでどのように状況が好転したかを見てみましょう。

借金内訳

借金総額:5800万円
カードローン:
みずほ銀行:100万円
住宅ローン:
みずほ銀行:4500万円
事業用ローン:
日本政策金融公庫:1200万円
借金開始から債務整理着手までの期間:約4年

債務整理後の状況

残債務:4850万円
返済計画:
(期間)5年間(住宅ローンとカードローンを除く)
(返済)約4万円(日本政策金融公庫への返済金額)
債務整理に踏み切った理由:
調剤薬局の経営立て直しは無理だと判断したため
債務整理をした時期:2015年11月頃

便利な特定調停で借金を整理

大手調剤薬局で勤務していたAruさんは独立の夢を叶えるため、日本政策金融公庫から1500万円の融資をうけて、自分の調剤薬局を開業します。

立地も良く、ビラ配りなどの努力の甲斐もあり、滑り出しは非常に順調でしたが、頼りにしていた病院が移転することになってしまい、客足は激減してしまいます。

資金繰りのために銀行のカードローンから100万円を借りますが、程なくして調剤薬局を廃業することに。

開業資金とカードローン、そして住宅ローンを合わせると5800万円もの借金だけが残ってしまいました。

自力での返済が困難だと判断したAruさんは、債務整理をするために弁護会に相談をします。

そこで紹介された債務整理に強い弁護士から特定調停での債務整理を勧められ、開業資金の融資を受けた日本政策金融公庫だけを特定調停することになり、債権者との合意が成立し借金の減額に成功することが出来ました。

開業した薬局に関しては残念な結果となってしまいましたが、ご自宅も残すことができ、また無事に債権者との合意もすることができ、借金の減額をすることが出来て本当によかったです。

特定調停は弁護士を雇わなくても債務整理が出来る方法なので費用が安く済みます。

しかし、合意が難しかったり借金の減額が上手く行かない場合もあるので特定調停を希望される場合でも一度弁護士へ無料相談をしてからの方が間違いがないでしょう。